読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

2016.9.17

昼から上野方面へ出かけ、3つ展覧会を回ってきた。最初にアニッシュ・カプーア展。これがとてもよかった。カプーアの彫刻体験では、作品に私の知覚が吸収されてしまいそうな気分になる。インスタレーションと建築の間くらいの作品模型が4点あったのだが、そのうちの一つ、階段を上って扉を入っていくと、真っ黒い巨大な半球状の空間が足元に広がっている(足場が半球内の空中に飛び出ている。足場の床は黒く塗ってあった。多分これは重要)作品は、実際に作られたら是非体験してみたい。横に展示してあった黒い彫刻のひたすら暗い「深さ」のようなものを、全身で体感できるだろう。この知覚の「深さ」というのは、カプーアの作品において重要な概念だと思う。人間は「深さ」というものを日常においてあまり知覚しない。「深さ」は「遠さ」とはまったく異なるものである。例えるならば、真っ暗な夜空に吸い込まれそうになる感覚、距離を超えてあちら側に持ってかれそうな。カプーアの作品を見ているとそういう瞬間を思い出す。個人的にこういう作品は好きだ。鏡や光の屈折を用いた世界を多重化するようなオブジェクト作品も、見ていて飽きることがない。理科の授業でプリズムや虫眼鏡を渡されて、ずっと見ていた頃の気持ちに近い。
その後に、近くでやっていた『絵画を見ること』という展示を見た。印象的だった作品は、キャンバスの淵に点々とカラフルなアクリル絵具がポツポツ描かれている作品。荒川修作の初期絵画にも、キャンバスの「際」を意識させる作品がある。展示をしていた建築の2階から外の墓地がよく見えて、おもしろかった。谷中は墓地がとても多い。
最後に、ギャラリーASAKUSAにて『不透明性への権利』。ジャン・ジュネの詩を用いた映像作品。このギャラリーの思想的方針はブレない。『S/N』と『マルホランド・ドライブ』を思い出すような実験映像。